『相対性理論と量子論と死後の世界をざっくり説明』

《1. 相対性理論(特殊相対性理論、一般相対性理論)》

(1)相対性理論の結論

 @ 光速度不変の法則:光速は一定、光の速度よりも速く動けるものはない(特殊)
 A 光の速度に近い速さで動くものの長さは縮む(特殊)
 B 光の速度に近い速さで動くものは時間が遅く流れる(特殊)
 C 「E=MC^2」: 重さとエネルギーは同じもの。質量=エネルギー(特殊)
 D 重いものの周りでは、時間は遅く流れる(一般)
 E 重いものの周りでは、空間(光)が歪む(一般)

(2)相対性理論から導かれる現象

 法則Bについて、
 光の速度の99.5%の速さで移動できたら、止まっている場合より10倍時間が遅く進みます。
 超高速宇宙船に乗って、宇宙船の時計の10年後に戻ってくると、光の速さで動く宇宙船に乗った人は10歳しか歳を取りません。
 しかし、宇宙船内の時計は地球より10倍遅く進むので、地球では100年が経っています。
 映画「猿の惑星」と同じ現象が起こり、童話「浦島太郎」の出来事に似ているため、これを「ウラシマ効果」と呼びます。

 そして、未来へ向かうタイムトラベルは理論的に可能です。
 今のところ一般相対性理論では過去へは戻れないとされていますが、時間は直線のように過去から未来にまっすぐ延びているのではなく、 未来がいつか過去につながってしまう時間的閉曲線を持つ解が発見され、過去にタイムトラベルできる可能性も出てきました。

 法則Cについて、
 重さはエネルギーを持ち、エネルギーは速度の二乗に比例し、エネルギーが発現されると物体は軽くなります。
 核エネルギーとは「E=MC^2」により、原子の重さを減らしてその時に出る余計な重さから取り出されるエネルギーです。

 ニュートン力学の「質量保存則」は何処へ行ってしまったのか?

 法則D、Eについて、
 重力が強くなればなるほど、時空を歪ませ、時間の進みを遅らせる。このため重力場の存在する惑星上では、重力の無い宇宙空間に比べて時間がゆっくり進む事になり、 その中を進む光は進路を大きく曲げられます。
 国際宇宙ステーションでは、地球から離れているので地上より時間が早く流れていることになり、 1年間乗務すると地表より約0.01秒時間が短くなり、地上に立っている人よりも速く年を取ることになります。

 地球が太陽のまわりをまわるのは、引力によって地球の進行方向が曲げられるのではなく、太陽の質量によって歪められた時空に沿って動くことで、 地球は楕円軌道をえがいています。
 重力が極限まで強まり、時空を曲げるブラックホールの周囲では、時間が止まってしまいます。
 そして、これがブラックホール現象、ワームホール(2つの異なった空間を結ぶトンネルのような時空)・ワープ現象につながることになります。

  ニュートン力学の「万有引力の法則」は何処へ行ってしまったのか?

(3)相対性理論の応用

 GPS時計は、地球のはるか上空にある衛星と通信を行うため、一般相対性理論を無視してGPSを利用しても、1日数十メートルのズレが生じてしまい、使い物になりません。
 衛星側の内蔵時計は、毎秒100億分の4.45秒だけ遅く進むように適宜補正がなされています。

《2. 量子論》

(1)量子論の結論

 @ 量子は、観測すると挙動が変わる。
 量子は、観察していないと『波』としてふるまっていたのに、観察された瞬間に『粒子』として振る舞い始めます。

 A 光の粒子がもっている情報を、遠く離れた場所に瞬時に伝送できる。
 量子の双子のペアは、どれだけ遠い場所にあっても、完全に同時に、片方が見られたら、もう片方にも必ず情報が伝わります。

(2)量子論から導かれる現象

 法則@について
 量子が発見されるまで、ニュートンの運動方程式(ma=F)はどこでも成り立ち、いろいろなものの運動が説明できました。
 しかし、光は粒子と波動、両方の性質を併せ持ち、原子の世界では、運動方程式が成り立たちません
 目に見えるマクロな世界には、両方の性質を持つものはありません。
 量子力学が語るミクロな世界では、同じものを同じように測定しても、毎回違う値が出てきます。

 法則Aについて
 この方法は「量子テレポーテーション」と呼ばれ,理論的には、情報だけでなく“物質の瞬間移動”を実現することは可能なようです。

  ニュートン力学の「運動方程式」は何処へ行ってしまったのか?

(3)量子論の応用

 量子を利用して計算する量子コンピュータは実現されています。
 0と1を使って、「有るか」、「無いか」の2進数で計算するのが今までのコンピュータですが、 量子コンピュータは、0か1のどちらかに確定しない「重ね合わせ」状態が存在し、2つまたはそれ以上の状態を同時に扱うので、少ない回数の計算で瞬時に答えを導き出せます。
 スーパーコンピュータでは1万年かかる計算が、2019年にグーグルの53量子ビットのマシンなら200秒で済むことが実証されました。
 53量子ビットあれば、2の53乗(9,007,199,254,740,992 約9兆)の状態を同時に計算できることになります。

《3. 相対性理論と量子論と死後の世界》

 ニュートン力学の大前提であった「絶対空間」、「絶対時間」は、 アインシュタインの「光速度一定」という相対性理論の法則の発見により、宇宙で不変なことは光の速さだけであり、空間も、時間も、相対的に変化することが立証されました。
 また、相対性理論では光の速度より速く情報を伝送することはできないとされています。
 しかし、量子テレポーテーションは光子の状態に関する情報を、瞬時に(光速より早く)離れた相関がある電子に伝送できます。

 私たちが、中学、高校の物理で習ってきたニュートン力学は目に見える世界の法則、相対性理論は宇宙を扱うマクロの法則、そして、量子論は原子レベルのミクロの法則です。
 空間・時間が伸びたり、縮んだりすること、質量が不変で無かったこと、光子が観察により、あたかも意思を持ったように瞬時に振る舞うこと、どれもが不思議ですが現代物理の常識です。

 相対性理論と量子論は相性が悪いですが、死後の世界と、空間・時間の歪み(相対性理論)、瞬間移動や現実が瞬時に変化すること(量子論)は、相性が良いようです。

 般若心経の「色即是空・空即是色」(和訳例:あらゆる物体は、固定的な実体がなく「空」という性質によって成り立っている。 存在は「空」であり、あらゆるものは形をもつことができ、また形を変えることができる)の世界観にも繋がっているように感じます。

 タイムマシン、どこでもドア、ワームホール、テレポーテーション、そのどれもが理論的に証明されています。

 重さとエネルギーが同じものなら、人間もエネルギー体であり、質量を失えばエネルギーが放出されるということです。
 「死後の世界」を非科学的と決めつけるのは時期尚早です。